新年度の価格、「初詣で神頼み」ではもう遅い
調達の実務に携わる前は、4月以降の価格の折衝は年明け早々から始めるのかな?と想像しており、初詣をする時は「折衝がうまく行きますように」とお賽銭を投げて祈願をするのかな、と考えていました。
しかし、実際は違いましたね。
日本では多くの企業が3月末決算で、4月からの新年度に向けた予算(経営計画)を遅くとも2月までには固めてしまいます。
ですから、これに対応して新年度の材料の購入価格の折衝は12月くらいから初めます。
これは自社スケジュールの都合だけでなく取引先様も新年度の販売計画の策定に入りますので、材料の販売単価の折衝を早目に開始しないと
「もう新年度の予算登録はしてしまった」
ということになり取引先様も動きづらくなってしまいます。
とにかく「新年を期して気持ちも新たに」などというキッカケではなく、それまでの積み重ねの成果を価格折衝に結び付ける訳です。
もちろん私たちの会社の製品の販売環境は常に変化していますから、こうした変化に応じて価格の見直し依頼は適時仕掛けることは当然ですが、そうした場合は相応の理由も必要になってきますね。
新規材料の導入・実績化は2年くらいかかる
継続購入予定の材料であれば上記のスケジュール感ですが、こうした材料で大きなコスト低減を実現するのは一般的にはなかなか難しいですね。
大きなコストダウンを実現するなら材料切替えでしょう。
しかし、使用材料の変更は品質の確認だけでも少量試作→量産試作を通じた購入仕様書の制定や、お客様への「4M変更申請書」提出→承認などの手続きを要するため、時間がかかります。
ですから、コストダウンをず~と継続するにはこうした材料切替えのテーマを何本も並行して推進すると同時に常に新規のテーマを模索する必要があります。
これが、キツイ。
だから、私は初詣では新年度の価格折衝が上手く行くように、ではなく
「新しい切替えのネタがテーマとしてキチンと検討の軌道に乗りますように」
と祈願します。
尚、年末年始は日本の以前からの商慣習で「ご挨拶」の来客が多いですね。
これに対して最近は「意味がない」とか「虚礼廃止」とか、受け手の私たち調達が避ける風潮がありますが、私は一概に「意味がない」とは考えていません。
それについては別の稿で。