調達魂

~日々奮闘する資材調達・購買バイヤーに贈る言葉~

「ネットから購入したい」という場合の対応

今はネットの時代で、事務用の文房具や現場で使う工具や消耗品は特定の業者と契約してそのシステムを通じて発注しているのが一般的で、これで日常業務に必要なものはほとんど揃うと思います。

しかし、あくまで「ほとんど」であって「全て」ではありませんね。

こうした中で、開発部門などでは自社で契約しているカタログ販売システムを検索しても見つからない場合はAmazonなどから個人で購入し、支払った金額を後から会社に請求して精算するという方法を取られていることが多いのではないでしょうか。

個人で購入した後の精算ではガバナンスの問題やリスクがある

基本は会社の業務で必要なものは会社のシステムを通じて発注することです。

システムを通じて発注しない場合の問題としては

  • 会社のお金を使う場合は上長の承認を経て、調達部門の決裁を受けた価格で発注するというガバナンスが効かないという問題。
  • ネットでは基本的に前払いのため、支払いを行った後に現品が送付されなかったり、仕様や品質に問題があるなどのリスクがある。

その他に、購入・精算の処理をする本人や経理部門では通常より業務工数が多くかかってしまい面倒ですね。

しかし「問題がある」と指摘だけしても対処方法を提示しなければただの評論家です。

では、どうするか・・・

既存取引先の商社様に代理購入を依頼する

既存取引先様の中で「困った時にはご相談ください」と言って、口先だけでなく、本当に頼りなる商社様を選んで対応をお願いしたところ

「いいですヨ」

と快諾してもらえました。

手順はシンプルです。

  1. 自社内の依頼元は欲しい物品の型式名と数量を記載があるネットのページの情報と併せて私たち調達部門に社内メールで購入依頼する。
  2. 私たち調達担当者はこの社内メールの不要な情報を削除した上で代理購入をお願いする商社様に購入の手配と見積書の差し入れを依頼する。
  3. 商社様から提示された見積書を依頼元に転送し、社内システムから「注文依頼」をかけてもらう。
    →この時の見積金額はネット上の販売金額に商社様のリスク及び管理費用分として、
     +10%程度上乗せした金額での提示を容認しています。
  4. 対象品が納品されたら内容物の確認をした上で検収計上処理を行う。

以上で、何らかの事故で対象物が納入されない場合、私たちの会社には支払義務がありませんが、これまで幸運にも?商社様側で「お金は払ったが品物が来ない」と言うトラブルは発生していません。

 

ちなみに、この取引先様はいわゆる「なんでも屋さん」です。

実は、最初に挨拶した時は「なんでも屋さん」ということで、その他の取引先様に比べて一段低く見ていました。

ところが本当に何でも受けてくれて滅多なことではギブアップしないのです。

例えば、オレンジブックの掲載品の見積を依頼すると
「この製品のメーカーとは直接取引があるため、もっと安い金額で対応できます」
と言った対応もしてくれますし、
「この装置とこの装置の機能を組み合わせてこんなことがしたい」
と言うと、2つの装置をインテグレートした製作物の対応もキチンとしてくます。

ここまでなら、他でも2社ほど同様な対応をしてくれる商社様はありますが・・・

以前、会社で業績が顕著で表彰された方に副賞としてiPadとそれに付属するキーボードとペンシルが贈られることとなったのですが、この時iPad本体はスグに入手できましたが、付属するキーボードとペンシルが品薄で、私たちが一括して発注した商社様からは「いつになるかわからない」という状況でした。

取り敢えず2週間ほど様子見をしてたのですが、やはりいつになるかわからず、アップルストアなら定期的に入荷するが予約はできず、その時々で早い者勝ち、との話で「当社に入荷するのを待つしかない」という当事者意識に欠ける説明でした。

そこで、この「なんでも屋さん」の商社様に相談してみたところ
「わかりました。今日から毎日アップルストアに行ってみます」
と事もなげに言うのです。
「しかし、アップルストアは御社から近くはないでしょう」
と言うと
「会社からの帰り道の途中ですから、寄るのはそんなに苦にならないです」
とのことでした。

それから、約3週間弱の日に経った頃「きのう行ったら買えました!」と言って対象品が納品されたのです。

この時は、心の底から頭が下がりました。

この時から「なんでも屋さん」とは誰にでもできることではなく、誰にも簡単にマネできないことを指す言葉として敬意を込めて心の中でつぶやくようになりました。

tyoutatsumeister.hatenablog.com

しかし「全ての外部支払い案件は調達の発注システムを通じて」とリキんでも社外講演会を聴講するための前払い費用や電気・水道料金や電話代など、私たちの会社ではまだまだ対象にできていない費用が本当にた~くさんあります。

 

やること、やれることは一杯あるぞ~

M&Aなんかにも関与したいぞ~

そのための道のりは長いぞ~

という感じです。

 

調達の業務課題には様々な対応があり、何が正解ということはありません。

その中で、このブログが対応策の検討やセカンドオピニオンとして少しでもお役に立てれば幸いです。

また、営業職の方々にとっても調達担当者の考え方を理解することで取引先との良好な関係を築くための参考となれば幸いです。