調達魂

~日々奮闘する資材調達・購買バイヤーに贈る言葉~

「資材」「購買」「調達」、ふさわしい呼び名は

「購買」と「調達」の違いは

その企業の歴史や新しく組織を作る時にその組織名称を考案する立場の方の経験や考え方で組織名称が決定されているためなのか、この仕事の呼び名は一定ではありません。
それでも一般には「資材」「購買」「調達」この3種類の内どれかが採用されているようです。

ちなみに、ハローワークなどでこの仕事の求人検索をする場合のキーワードは「購買業務」となるようです。

一方、ネットで「購買」と「調達」の違いについての記述を読むと、いくつかの記事で、
『「購買」は単にモノを買うことを意味するのに対して、「調達」とは必要なモノを適切なタイミングで揃えることで、調達業務の中に購買活動が含まれる。』
との説明があります。

では「資材」と「調達」の違いは

「資材」というと、どうしても私には直接材料や間接材料だけを対象とした呼称に聞こえてしまい、材料関係と同様に事業継続に欠かせない生産設備やソフトウェアのライセンス契約など各種サービスへの対応業務は担当外に思えてしまいます。

実際には、企業ごとに組織名称が異なるのと同様に、その職務分掌も異なるため、「業務対象は材料だけ」ということも多いかもしれませんね。

しかし、私は自分の仕事を枠にはめて範囲を限定してしまうのはイヤで、自社の事業継続に必要な全てのモノやサービスなどを「調達」するのだ、というふうに考え、実際に関与してきました。

ですから、このブログではこの仕事のことを「調達業務」と呼ぶことにしました。

私が考える「調達」

ところで、職務分掌にない業務に関与する、何じゃそりゃ、という声が聞こえそうです。

確かに、それまで調達部門の関与がなく、業務対応してきた社内の他部門の方々からすれば鬱陶しい話でしょう。

しかし、私たち調達部門は社外の取引先様とのお金のやり取りについてはプロです。

下請法についての知識と実践ばかりでなく、税務監査に耐えられるような支払いが確実に行われているかどうかとか、個別投資案件の価格決着内容について社内に対し説明責任を果たす決裁書の作成など、それこそお手の物です。

逆に人事異動などで従来調達部門の関与なく処理してきた部署の新人管理者の中には外部の取引先様への発注や支払処理について戸惑う方も少なくありません。
そこへ「そんなことは私たちに任せて」と入り込むと喜ばれます。

 実はこれ、喜んでもらえるのはコチラもウレシイですが、そんなことが目的などではありません。
私たちが関与していない取引がキチンと法令遵守できているか心配なのです。

今の時代、企業の事業継続に対するリスクは、製品が売れないことよりも税務も含めた各種の法令に対する違反が露見したことによる企業ブランドの失墜の方が遥かに大きいのではないか、と個人的に考えています。

そりゃまた大袈裟な、と思うかもしれませんが、私が見ているのは今ではありません。

若い社員は上司の背中を見て育ちます。上司から伝統的に「先輩もこうしていた」という理由で、法令違反をしているのを咎めなかったことで若い社員がそれを受け継いだら、
そして、その社員が優秀で将来トップや幹部になった場合には「先輩がしていた」こととして受け継いでしまうのではないでしょうか。

考え過ぎ? そう、考え過ぎかもしれませんね。

 

 

 

調達の業務課題には様々な対応があり、何が正解ということはありません。

その中で、このブログが対応策の検討やセカンドオピニオンとして少しでもお役に立てれば幸いです。

また、営業職の方々にとっても調達担当者の考え方を理解することで取引先との良好な関係を築くための参考となれば幸いです。