調達マンは取引先様に自社を売り込む営業マンでもある
取引先様には自社に対して、品質・価格・納期など全ての面で会社としての総力を挙げた対応・協力をしてもらう必要があります。
一方、取引先様にとってもこうした対応をすることは材料が使用されている製品の販売量が増加することで取引金額(売上・利益)が向上することを期待しているからです。
しかし、これは取引先様のトップから現場の担当の方々まで、頭でわかっている程度では通り一遍の対応に終始してしまいます。
それを、熱意を持った取り組みに変えていくことが調達の重要な仕事だと思っています。
では、そのためにどうすれば良いでしょうか。
私は、営業マンのように自分の会社を売り込むことだと考えています。
一般に製造部門や品質保証部門の方々は「良いモノを納期通りに」までは考えてますが、価格も含め「更に〇〇の対応を」という場合に、取引先様の担当の方に要望しても、それだけでは熱意を持った迅速な対応を引き出すのは難しいと思っています。
私たち調達部門は担当の方々の上長、更に幹部やトップに直接状況を説明し、理解を得ることで、取引先様から全社を挙げた対応を引き出すのです。
当然この中では自社の幹部と取引先様のトップとの面談をセットするなどの対応があり、こうしたことを企画する調達部門の果せる役割は大きいと思っています。
もちろん基本的には取引先様から見て自社に十分な魅力があることが前提ですが、こうしたことは日頃から私たち調達担当者が、できるだけリアルタイムで具体的に、そして丁寧に状況を説明することが欠かせませんね。
「弊社の方針は、貴社について行くこと」という方針の取引先様がある
実際にこのような方針を打ち出された取引先様が数社ありました。
これには、私たちの会社から出る厳しい要望に応えて行くことで自分の会社を鍛えたい、という考えからのものでしたので、この取引先様に対しては、お客様の要求(自社の要求ではない)は脚色せずに全てストレートに伝えて対応を依頼しました。
逆に、そうしなければ失礼ですものね。
結果的に、この方針を打ち出した取引先様はどちらもその対象材料の業界の雄として私たちの会社以外の取引も順調に拡大し、その結果として工場も新設されています。
しかし、時を経て事業環境変化などで、こうした業界の雄となった取引先様の材料は価格が高止まりしているという印象を持つことになります。
ですから、私たち調達部門はこうした取引先様との信頼関係を維持しつつ、常に水面下では新規の代替え材料の調査や育成をしています。
これが調達マンの性というものでしょうか。
何しろ、私たちの会社が生き残って行く必要があるのですから。