仕事が「依頼されたことだけ」になっていませんか?
調達業務は日常の納期調整や、価格折衝というイベントに向けてそれぞれの材料の注文量や品質とか自社と取引先様の状況や更に市場や市況の動向の情報収集など多様ですね。
確かに忙しいと思いますが、これらは「調達のお仕事」としてルーチンワーク化していると言え、こうした業務をこなすだけの日常になっていませんか?
これでは面白くありません。
調達担当者は社外からの売り込みに対応する第一窓口
私は新規取引先であろうが既存取引先であろうが、こうした売り込みは積極的に面談して話を聞くようにしています。
しかし、玉石混交とはこのことで、ほとんどの話は私に取っては石コロで、「ほう~」というような価値ある話が聞けるのは稀なことです。
それでもこうした価値ある情報を得る確率が例え100回の内1回としても面談を続ける価値は十分にあると思っています。
しかし、その仕入れた情報を何か社内ニーズがあった際に役立たせるそれだけであれば「待ちの姿勢」になってしまいますね。
ですから別の稿で書いた「産廃の再利用の検討」のように社内の問題を日頃から認識しておくことで、どこの会社に何をしてもらうことで何ができる、という提案をこちらから具体的に行うことを常に狙っているのです。
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もう一つ事例を紹介しますね。
「設備の定期点検を延期する」って、おかしくないですか
設備の定期点検は一般に半年に1度とか1年に1度の頻度でゴールデンウイークや盆休み年末年始などの連休のタイミング実施されますね。
いつも事前に計画し実施されますが「足元の受注残に対応するため定期点検を延期する」ということが何度もありました。
定期点検というのは製造設備の安定稼働を担保するために行うものですが、簡単に延期をしても良いのでしょうか?
実際は「転ばぬ先の杖」的な意味で「今、点検をせねばならない」という確かな根拠などない訳ですが、これに対して私は何とか「今、点検する必要がある」という明確な根拠を見出す技術はないものかと漠然と考えていました。
こうした中である時、日本を代表する大手の電機メーカーである取引先様から
「電力会社の発電プラントにセンサーを張り巡らし、全プロセスの中での”ゆらぎ”を検知することで故障を予知する」という技術の紹介がありました。
今はこうしたIoTによる予知保全の発想は良く聞きますが、この話は後にIoT元年と言われる2015年当時の話で、まだ一般的には「何それ?」という時代です。
この時は、まさにこのような荒唐無稽な話を持ちかける相手になってもらうために取引先様から私たちの会社に迎え入れた、と別の稿で紹介した方が別の事業部で品質保証部門の管理部長の立場であったため渡りに船とばかりにこの話を持って行きました。
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この品質保証の管理部長は私からの提案を快諾し、取引先様からのプレゼンテーションを実施しました。
驚いたのは、この部長も「予知保全」の検討を開始しており、既に1年分以上のセンサーデータの蓄積があるためすぐにシミュレーションが可能で、これまで検討を進めてきた別の業者と比べ仕様や価格でよりベターな提案があれば是非検討したいという状況でした。
この結果は、検討を進めていた別の業者に比べ私の提案した取引先様の提示価格はかなり高額であったことや対応のスピード感にも問題があり、こちらは立ち消えになりました。
さすが、私が引っ張った人、という思いと、みんな考えることは同じ、というのが率直な感想でした。
それでも「こんなことができたらいいなぁ」と思うことと「この取引先様ならこんな事ができる」と具体的に紹介ができることは雲泥の差です。
繰り返しになりますが、こうすることで仕事の範囲が広がり、俄然面白くなります。
と言う訳で、今も狙っていることがいくつかあります。