妻や子供に「あれはオレ達が作った」と誇りたい
2000年代初頭は米国MBA流の「利益の極大化」が大流行
当時から私はこの考え方には全く共感できませんでした。
そして、その後も「株主価値の最大化」がキーワードになった時期がありましたが、私にとっては金の亡者にしか思えなかったのです。
そんなに金を儲けて、何に使うの?何がしたいの?という感じです。
こうした中で
大成建設の「地図に残る仕事」というキャッチコピーは胸に刺さりましたね。
建設業に携わる会社の方々は下請け・孫請けとかどんな立場の方でも
例えば
「スカイツリーはオレ達が作った」
とか
「青函トンネルはオレ達が作った」とか、家族に言える訳です。うらやまし~
量産部品の生産というモノ作りの会社に勤める私にとっては「地図に残る仕事」はできませんが、私たちの会社の製品を組み込んだ最終製品によって「私たちの家族の日常生活をより便利で豊かにするモノ作り」には貢献できるのです。
液晶テレビがそうでした。
我が家で液晶テレビを買って、配線を終えて最初に番組が映った時に
「これ、うちの会社の部品が使われてるんだ」
と家族に言えた時は誇らしい気持ちでいっぱいでした。
昔は「ウチのお父さんは家では仕事の話は全くしない」という話を良く聞きましたが、
会社での人間関係のグダグダなど家では思い出したくもありませんよね。
だから私は自分が勤める会社の製品が私たちの日常生活の中で役に立っていることを妻や子供にスゴく自慢したいのです。
そして、そうすることで芸能人やスポーツ選手などマスコミが取り上げる派手な仕事だけでなく、広義で社会を支える仕事の大切さを伝えたいと思っているのです。
どんな仕事にも「難しさ」や「こだわり」がある
以前、印刷業の方と塗装業の方からお話を伺う機会がありました。
これは別々の機会でしたが、どちらも「同じ色を再現するのは難しい」と言われていたことが共通です。
塗装業では1日で完了できないほど十分に大きい建物を塗装する時に前日と同じ色を調色する訳で、これができて1人前と言われるようです。
一方、印刷業界には「コカ・コーラレッド」とか「マクドナルドレッド」という言葉があるそうです。
つまり言葉では同じ「赤」でも、その企業のコーポレートカラーとしてデリケートな色目を非常に大事にしてこだわっている訳です。
私は、こうした一般にはあまり知られていないモノ作りの難しさやこだわりを子供たちを初め、もっとたくさんの方々に知ってもらいたいと思っています。
「こだわり」は何もラーメンのスープだけでなく、どんな仕事にもあるはずで、私はできるだけ多くの仕事についてそうした難しさやこだわりを知りたい。
そうすることで、その仕事をされている方々に心から敬意を持って接することができると思っています。
取引先様には敬意を持って接したい
調達マンの仕事は表面上取引価格をできるだけ低減することです。
しかし、その折衝は取引先様に礼儀としてではなく、敬意をもって行うことが両社の信頼関係を築く基本になると考えています。