異物混入、入って不思議ではない物質と入るはずのない物質
「異物混入」というのは、自社の製品でも納品された材料でも悩ましい問題で、現場の方々を中心にひたすら執念を持って継続して取り組むしかないようですね。
これには、購入品質仕様書に定めた規格から外れてしまったという品質トラブルと、地道な努力を重ねて品質の向上を図る改善活動の2つに大別できると思います。
しかし、どちらにしても普通は品質保証部門が主体になって、混入した異物の材質分析とその分布などを評価し、その結果を取引先様に情報提供し、対象物質が混入した原因や経路の究明を依頼します。
ところで、今はまず聞きませんが、以前はたまに「虫」が混入することがありました。
これは、他の異物が混入していた場合に比べてイメージダウンは大きいですが、調達業務に就いてから現場の製造課長などに話を聞くと
「虫は自分で動くからなぁ」とのことでした。
なるほど、
通常の異物は重力で上から落ちてくるか、材料が工程で接触するガイドやロールから転写するため、現場では製造にかかる前にこうした部分を一生懸命清掃するのですが、何らかの経路で現場の空間に入り込んだ虫は勝手に飛び回ってしまう訳で、手強いですね。
ある時「入るはずのない物質」が検出された
という訳で「虫」は、突発的に入ってしまうかもしれないものです。
この中である時、異物分析をしたところ購入材料から微量のアルミ粉が検出されました。
これは、対象材料の通常工程では「入るはずのない物質」でしたが、品質保証部門の担当者は検出したアルミ粉は大きさも数量も購入品質仕様書の閾値未満であったため、問題視していませんでした。
しかし、材料メーカーの製造装置のどこかのガイドまたはロール部分で回転不良が起きているのではないかと私は考え、放置することができず、メーカーに調査依頼をしました。
このメーカーは私たちの会社より規模の大きな企業でしたが、やはり妙だと思ったのでしょう。依頼から2か月ほど経過した頃、報告書を受け取りました。
内容は、検出されたアルミ粉はそのメーカーで混入したものではなく、更に上流の原材料の精製を行っている工場(インドの会社と聞きました。)で混入したもので、原因を特定した上で対策は完了した、というものでした。
おお、そこまでやってくれたか~
でも、まぁ、責任ある企業ならやるわな。
というのが率直な感想でした。
もの作り、というのはサプライチェーンの各段階での誠実な努力の積み重ねがあって初めて継続できるものだと思っています。
その中で、私たち調達はそうした努力を促したり、引き出したりすることも重要な仕事だと思っています。