検収の可否判断は迅速に!
あくまで「可否判断」を迅速にすることであって、月末になって納品物の良否を確認せずに何でもかんでも即検収処理する、ということではありません。
確かに「下請法(下請代金支払支払遅延防止法)」の禁止事項の一つ「支払遅延」では「給付を受領した日から60日以内」とあり、納品物の確認・検査に要する時間には関係なく、60日以内に支払いを行う必要があります。
実際には、中小の規模の取引先様への支払条件は「検収月末〆翌月末支払」とする場合が多く、納品物の確認・検査に時間を要したため、検収の可否判断が当月の締日に間に合わず翌月になった場合でも、60日以内には支払処理を完了できることになります。
しかし、どんな場合でも検収の可否判断は迅速に行うことが基本です。
ですから、調達担当者は月末になると、この検収に漏れがないよう社内の各部署にフォローする業務で結構忙しいことが多いですね。
取引先様が大手であっても中小であっても支払いを常にキチンとすることは取引信頼性の根幹に関わることですので。
以前、東アジアには、装置を納入し試運転を完了しても検収を挙げてくれない(=代金の支払処理に着手してくれない)企業がある、という話を聞いたことがあります。
とんでもない事だと思いますが、これは取引先様への迷惑というだけではありません。
帳簿上、買ってないものを使用して製造や開発はできない
製造業は、基本的に材料を購入し、それを組合せて加工した製品を販売するものです。
この中で、実際には納品されているのに社内で計上していないものを使用した製品を出荷して売上をたてた場合はどうでしょう。
明らかに矛盾しており、これでは税務監査に通りませんね。
上市している製品であれば、このようなことのないよう社内システムが確立されていると思いますが、試作用の材料であったり、製造装置ではどうでしょうか。
試作品の中でも、量産試作品などは有償でお客様と取引をすることが多いと思います。
その試作用の材料は通常製品用の発注システムとは別の流れで発注されるケースもあると思いますが、調達部門から見て、キチンと管理された状態になっているでしょうか?
製造装置の場合、上記の海外企業のようなことはなくとも、試運転の結果、稼働はできるが細かな部分で事前に取り交わした仕様書の内容を満たしていないため、検収保留としたにもかかわらず、その装置を使用して製造を開始してしまったことはありませんか?
私は、このように仕様を完全には満たしていないが、自社都合で装置の利用を開始したい場合には、取引先様から「仕様を完全に満たすまで責任を持って対応する」という念書を取った上で検収処理をし、装置の使用を開始させるようにしています。