「年間ライセンス契約」、支払い計上はいつが正解?
ソフトウェアのライセンス契約や理化学機器の年間保守契約の場合
例えば、契約期間:2022年4月1日~2023年3月31日の1年間で、自社の決算月が3月末とした場合、取引先様への支払計上処理はいつが正解でしょうか?
考えられるパターンとしては
- サービスの提供期間の完了後である2023年4月中の計上。
- サービスの提供がスタートする2022年4月の計上。
- サービスの提供がスタートする直前の2022年3月の計上。
この3つでしょうか。
「1」については、発注した物品・サービスの提供を受け、その完了後に検収の可否判断を経て支払計上する、という私たちの通常業務の考え方を踏襲するものではありますが、ライセンス契約という場合の支払条件としては聞いたことはありません。
「2」と「3」については、取引先様にどちらを要望するか問い合せると、多くの場合「どちらでもOKです。」という回答が返ってきます。
4月のサービス開始に対し、支払計上は3月でも4月でも良いのか?
一方、経理部門を通じた国税の見解も「どちらでも良い」というものでした。
「ナニそれ~」という感じですよね。
国税の見解は「日本の商慣習では、サービスの提供の開始前・開始後どちらの支払処理も広く行われており、どちらでも良い。ただし、支払タイミングの一貫性が必要」ということでした。
具体的にどういうことかというと
決算月が3月だとして、あるライセンス契約の初年度の支払計上処理を4月に行った場合
その翌年の契約更新時の支払計上処理を3月に行っては一貫性がないためNG。
あくまで前年と同様に4月に支払計上処理すること、ということです。
社内でありそうな話として、
「今期は業績も良く、足元で予算に余裕があるから、この費用は今期中に支払おう」
とか
「今期は開発に予算を多く使ったから、この費用は来期予算から支払うことにしよう」
わかりますか? これがダメなのです。
国税から見たら、これが「利益操作」なのです。
そして、国税にとっては会計年度を跨がない限りは計上月は極端にはいつでも良いのですが、IFRSの採用などで4半期ごとに決算を外部発表しているような企業では、より厳格に運用する必要があります。
もっとも、4半期ごとに決算発表するような規模の企業では、こうしたライセンス費用や保守費用が全体に与える影響は軽微なものかもしれませんが・・・
しかし、別の稿でも既述しましたが、こうしたことは若い社員が見ています。
細かなことでもダメなものはダメであることをキチンと説明して指導しておかないと彼らが将来幹部になった時に、平気で粉飾決算に手を染めるようになるかもしれません。
もちろん、現在の幹部がもし「わかってる。しかし、細かいことは言うな」と言ったら、その時は毅然と対処します。
何故なら、会社は彼個人のものではないのですから。
tyoutatsumeister.hatenablog.com