新規材料 さあ、どこから買う?
基本は直接の見積依頼
調達業務に携わる前は、開発部門からの依頼として「こんな特性を持った材料を探して」という依頼が多いのでは、想像していましたが、ネット上の情報が充実している現在では実際には「〇〇社製の品名〇〇を入手したい」というように具体的な社名・品名を指定した依頼ばかりです。
こうした依頼に対して、今はネットの時代ですから対象のメーカーの問合せ先が簡単にわかりますので、全て直接問合せます。
問合せる、という表現では漠然としていますね。
支払条件・納入先及び希望する数量と納期を提示して見積依頼するのです。
これに対応して、見積提示を得れば、直接取引OKと判断できる一方、対象メーカーの販売方針その他の理由で直接取引がNGの場合は、両社で共に取引実績がある商社はないか、ない場合には新規の商社を、あった場合でもより良い窓口商社はどこか、を協議して決定します。
商社経由で実績あるメーカーの製品でも直接見積依頼する
新規材料でも実績のあるメーカーの製品の場合はよく「ああ、あのメーカーなら窓口商社はあの会社だね」などという発言がありますが、ここで絶対に手は抜きません。
新規の材料が製品に採用された場合は、当然製品原価に直接影響しますので、この最初の一歩を間違えることで不必要な商社を介在させてしまった場合の悪影響はとても大きなものになります。
何しろ、別の稿でも既述したように「商社は一商権命」なのですから。
そして、実際にメーカーに直接問合せると
- 「新製品なので直接の取引をお願いしたい」
- 「実績ある材料とは事業部が違うため、直接または別の商社を通じて取引願いたい」
- 「今回は直接取引とし、これを機に今後は直接取引の方向で調整したい」
など、聞いてみなければわからなかったなぁ、という経験が何度もあります。
最終的に、メーカーの企業体力の問題や在庫運用による小口配送対応などの理由で、商社を起用する結果となることもありますが、後から商社を商流に加えることは簡単なことですし、そうして後から商社を起用する場合は、恩を売る形になるため、そのマージン面でその後の価格折衝を有利に進めることができます。
もちろん、問合せに対する回答として
「貴社とは従来から、あちらの商社様を経由した取引をさせていただいていますが・・・」として、暗に「そんなことも調べてないの?」というコメントをもらうこともありますが、こうした場合は「新規材料発注時の弊社のルールです」とシレっと説明しています。
しかし、実際には調達担当者として気が付いた時には既に5万円くらいの金額で発注が既存の商社様経由で数回繰り返されて「商流」が出来上がってしまっており、あ~あ、と思うこともありますが、とにかく開発部門には、「新規材料は全てメーカーに直接見積依頼する」ことの徹底を私はお願いしています。
最近は「調達業務の効率up」を目的に少額の発注案件をBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)などの考え方で外注化してしまうことがあるようです。
これは、今の事業、今の製品に対して経費節減をするには良いかもしれまあせんが、新しく競争力のある製品を創出する、には不向きだと私は思っています。
忘れがちな梱包材料
私の会社では、上市済の製品のコストダウンを図るために梱包材料の見直しを図ることはありますが、新製品の上市に当たり梱包材料の品質・特性・安全について確認することはあっても、選定した材料の材質・メーカー・商流が最適かどうかについて深く審議されることはないように感じます。
なにしろ開発部門は、製品の特性・コストの検討・確認に一生懸命で、梱包材料まで気が回らないのは十分に想像がつきます。
いわゆる「あとは、走りながら考える」という感じでしょうか。
しかし、製品原価の中で梱包材料の占める金額は、特に高付加価値品であるほど大きいものです。
新規の上市製品の話を聞く時には、必ず梱包材料の検討内容をヒヤリングするようにしており、これからの検討である場合は、安易に選定・決定せず、調達部門に連絡するようお願いしています。
実は、梱包仕様・材料の検討って、私は結構好きなんです。