調達魂

~日々奮闘する資材調達・購買バイヤーに贈る言葉~

ヌケ・モレ・カン違いによる納期トラブル

人間はミスをするもの

サプライチェーンを確立した、と言ってもヒトが介在するとどこかで抜け・漏れ・勘違いなどのミスによる納期トラブルが発生します。

この対策として誰かがミスをしても、他の人間がチェックをする体制が良く取られていますが、こうしたミスは滅多に起こらないため、チェックする人もいつの間にか実質スルーしてしまい、やはり問題が発生してしまうことがありますね。

ではどうするか、ということは一般論で語ってもあまり意味はなく、個別の案件で具体的な体制や状況を踏まえて立案する方が現実的だと思っていますので、ここでは言及せず、あくまでヒトのミスが原因で発生する納期トラブルの対応を考えます。

日本の政府などの官僚組織では「無びょう性の法則」というものが無意識の内に前提とされている、と聞きます。

「無びょう性」とは、簡単に言えば「絶対に間違えない」ということで、理論や判断を間違えないことを意味し、単なるタイプミスなどは対象外かもしれませんが、人間であれば絶対にどこかでミスをしてしまうものだと私は考えています。

そして、例えば交通事故なら、起こしてしまった時はあくまで「事故」、
しかし、そこから逃げてしまうと、その瞬間から「犯罪」になると思っています。

そう、これが私の基本的な考え方です。

自社のミスで短納期依頼をする場合

実は、私自身がミスをしてしまったのではないかと、いつもドキドキしているのですが、とにかく自社内のメンバーのミスが原因で取引先様に短納期の依頼をする時には「弊社のお客様が・・」とか事実と異なる別な理由を創作して説明をしたい誘惑にかられます。

しかし、私はできるだけ事実を正直に説明して協力を求めるようにしています。
理由としては

  1. 創作した理由では、どこかで辻褄が合わなくなり破綻するリスクがある。
  2. 取引先様に常に真実を告げることは調達マンとしての信頼性の根本だと考えている。
  3. 創作した理由では、その場だけでなくその後も考慮する必要があり、何より疲れる。

といったことが挙げられます。

取引先様のミスで納期遅延の連絡を受けた時は

 取引先様の立場で、お客様である私たちに納期遅延の連絡をするのは大きな屈辱です。
増して人的なミスに起因する場合は、私たちに連絡する前に打てる手は全て打って、それでもNG、またはその可能性が高い場合のこととなります。

ですから、こうした連絡を受けた時はすぐ製造部門に連絡して協力を求め、デッドエンドの納期情報などの取りまとめを依頼します。

何しろ、いつも助けていただいているのは私たちなのですから。

一方、起きてしまったミスについては、故意に引き起こそうとは誰も思いませんので文句は言いませんが、私たちへの連絡に時間を要した場合は良く状況をヒヤリングします。

「あの手この手を検討していた」のなら、まぁ良いですが、「言い出しにくかったので」などという説明の場合は、猛烈にクレームを付けます。

「納期」は、自社ばかりでなく、取引先様も一緒になって私たちのお客様に対して必死で守るものだと思っています。

ですから、重大なリスク情報の提供を特別な理由もなく遅らせることは私は許せません。

このような場合には、すぐに取引先様の窓口担当者を変更させることを考え始めますし、情報提供を躊躇させたのがもっと役職の重い方であれば、キチンと直接お話をします。

そして、それが企業体質である、と判断した場合は、取引停止を考え始めます。

調達の業務課題には様々な対応があり、何が正解ということはありません。

その中で、このブログが対応策の検討やセカンドオピニオンとして少しでもお役に立てれば幸いです。

また、営業職の方々にとっても調達担当者の考え方を理解することで取引先との良好な関係を築くための参考となれば幸いです。