調達魂

~日々奮闘する資材調達・購買バイヤーに贈る言葉~

廃棄物の引取りを抱き合わせた提案は検討せざるを得ない

調達業務は「発注すること」と思われてますが

工場で発生する各種廃棄物の処理は、その最終処分を確認するマニフェストの管理・取得まで必要なため、規模の大きな工場では調達部門とは別部門が対応していることが多いかもしれません。

法令遵守という中ではそれで十分と思いますが「会社を強くする」という観点から、私自身は無関心でいることができません。むしろ「廃棄物の低減・活用」という切り口を加えると、調達という業務範囲の考え方や選択肢が大きく広がる気がします。

特別なことがなくとも、こうした産廃処理業の取引先様に関する企業情報の入手や、廃棄物の運搬・処分費用の価格決着など調達部門として関与することができますので、そうした折には「廃棄物総量削減」の取り組み内容や「お困りごと」をヒヤリングするようにしています。

「廃棄物の総量削減」は、工場全体の共通課題

一般に営業マンがSCMを語る時には、製品を売って納品するところまでで、その後にその製品や梱包材料がどのように処理されるのか、まで語られることはありませんが、納入した製品に関わる廃棄物の引取りまで包含したビジネスモデルにもとずく取引の提案を受けた時は、検討せざるを得ません。

これが「引取りと処理の費用は弊社で負担します」程度の内容であれば、単なる値引きと同じですから、あくまで引取ったものは有価物として何らかの形で利用や消費をすることが前提の話です。

私たちの周りで一般的なのは、複合機のトナーカートリッジの回収などがありますね。

この中で、今の仕事に就いて一番驚いたのが、工場で使用する安全靴について、ある大手メーカーが一定規模以上の工場には専用の廃棄BOXを設置して定期的に回収する、というものでした。

メーカーの担当者に話を聞いたところ、このビジネスモデルは狙って構築したものではなく、お客様からの要望を受け検討したところ、安全靴は金属を含め多種の材料が使用されているため、お客様では廃棄物として処理するしかないが、自社であれば具体的にどの部位にどんな材料を使用しているかを熟知しているため、大量に回収し材料ごとに分別することで有価物として処理することができる、とのことでした。

なんと、極端に言えば、靴を買うのに「履き心地で選ばない」のです。

これでは、よほどのことがない限り他社品は検討できません。
ですから、売り込みに来た営業マンには、こうした廃棄物の引取りまで視野に入れた提案を模索するよう焚き付けています。

廃プラ活用品の目印は「黒色」

理想は、自社の工場からの廃棄物を全て有価物として処理する、ことです。
しかし、なかなかそうは行きません。
回収運搬や分別するコストをかけても元が取れる「用途」がないのです。

例えば、廃棄プラスチックの再利用品で良く目にするのは、
ポリエチレンならホームセンターで植栽の苗に使用されている、黒い樹脂製のポット。
ポリプロピレンであれば、黒い樹脂パレット。
などがあり、共通するのは色が黒ということ(ちなみに「黒いガンダム」もそうではないかと思っています)ですが、原油・ナフサの時々の価格でメリットが大きかったり、場合によっては逆ザヤになってしまったり、なかなか大変なこともあります。

逆に、私の知っている用途はこれくらいで、時を経てもあまり広がっていない印象です。

自社内で使用する用途を考える

自社の工場から、どんなものがどれだけ廃棄されているかは調べればスグにわかります。
それを、世間一般向けではなく、自社独自で利用できる用途を考え、チャレンジすることはなかなか楽しいことです。

産廃の総量削減」というスローガンに対して、具体的に「このアイテムを〇〇で代替えする」という提案や検討に調達部門が関与することで積極的な推進ができるのではないかと思っています。

 

 

調達の業務課題には様々な対応があり、何が正解ということはありません。

その中で、このブログが対応策の検討やセカンドオピニオンとして少しでもお役に立てれば幸いです。

また、営業職の方々にとっても調達担当者の考え方を理解することで取引先との良好な関係を築くための参考となれば幸いです。