コスト・納期・品質 一番大事なのは
現場は安全が第一
ある製造課長が「品質第一、納期第一、安全第一」という方針を打ち出したことがあり、何が本当の第一かわからず、現場の方々も大変だなぁ、と思ったことがあります。
私個人は、現場での第一は「安全」ではないかと思っています。
これは、人に優しくということもありますが、実際に現場で災害が発生すると労働基準監督署の査察が入ります。
災害の規模により異なりますが、原因・対策などを検討し報告書を提出するまでの間工場は稼働停止となるため、場合によっては製品供給に問題が発生し、お客様にご迷惑おかけしてしまい自社の社会的信用を大きく損なうリスクがあるからです。
では、購入材料では何が第一?
よく「コスト・納期・品質で一番大事なのは?」と質問すると「どれも大切で、優劣つけられない」というコメントを耳にします。
しかし、調達実務を経験すると、一番大事なことが見えてきます。
モノづくりの企業での事業活動は、お客様に約束した性能・品質の製品を約束した納期に納めることで供給責任を果たすことです。
今、目の前の受注に対して供給責任を果たすためにはコストはあまり意識しません。
ですから、緊急時は航空便やトラックをチャーターして納品することがありますね。
では、納期を間に合わせるために取引先様社内の出荷検査を省略してでも受け取るべきでしょうか?
それまでの実績から、品質に関して十分信頼できる場合はOKかもしれませんが、極端に言えば納品された材料を使用して生産をした結果、結局NGであった場合にはフリダシに戻ってしまい、逆に時間的な損失が大きくなってしまいます。
一番大事なのは品質
納期問題が発生すると、周囲からのプレッシャーで「何でもいいから、今欲しい」という精神状態になることがあります。
しかし、品質の確保・確認に時間を要した結果、納期に遅れが出てしまっても、使えるかどうかわからない材料を受け取るよりはずっとマシだと思っています。
新製品の立ち上げ時など、このようなトラブルはよく起こります。
対応する実務では、こうしたことを理解した上で、製造・品質保証はじめ関連部署に取引先様の状況について逐一情報提供した上で、それこそアノ手コノ手の手を打っていくことになりますが、これは別の稿で。