「下請法」は調達業務のバイブル?
昔は調達業務と言えば
営業職から配置転換で調達部門に異動を申し渡された時には、今後はお中元やお歳暮を取引先様からいっぱい貰えるかも、などと思っていました。
何しろ高度成長期のモーレツ営業マンは客先の担当者(つまり調達担当者?)に夜討ち朝駆けし、注文を取るために時節の贈り物は欠かさないという風潮があり、その名残りがまだまだあるのではないかと想像していた訳です。
しかし、実際にはお中元もお歳暮も1つとしていただくことはありませんでした。
あ、1回だけ新規に取引を開始した装置メーカーから夏にビール券が郵送されてきたことがあり、この時は一回り大きな封筒に入れて送り返したところ、「失礼しました」ということでした。
現在の調達担当者には、とにかくクリーンであることが求められますね。
では、取引先様と公正な取引を行うためにはどうすれば良いのでしょうか?
「下請代金支払遅延防止法」(通称「下請法」)
調達業務に携わる者であれば「下請法」の知識は基本中の基本ですよね。
内容は親事業者の義務として
- 書面(注文書)の交付義務
- 支払い期日を定める義務
- 書類の作成・保存義務
- 支払いを遅延した場合の遅延利息の支払い義務
そして、禁止事項として
- 買いたたきの禁止
- 受領拒否の禁止
- 不当返品の禁止
- 支払減額の禁止
- 支払遅延の禁止
- 割引困難な手形交付の禁止
- 購入強制・役務利用強制の禁止
- 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
- 不当な発注内容の変更及び不当なやり直しの禁止
- 報復措置の禁止
- 有償支給材の早期相殺の禁止
これは、下請け対象の企業との取引において適用される罰則を伴った法律ですが、内容を見ると公正な取引を行うために必要なことが網羅されている、というのが私の意見で、これまで大手の上場企業の取引先様なども含めた全ての取引に愚直に適用してきました。
もちろん「買いたたきの禁止」に対して価格折衝をしない、などということはありませんので、念のため。
相手の企業規模にかかわらず、取引先様との取引信頼性を確立するには日頃から細心の注意を持って礼節をわきまえることが必要だと思っています。
何故なら、取引先様に対して価格や品質について、場合によって取引停止も視野に入れた容赦のない要求をするためには、日常の取引で小さなことであってもカリやスキを作る訳にはいきませんので。