調達魂

~日々奮闘する資材調達・購買バイヤーに贈る言葉~

汎用品で、今より安い価格で売り込みがあったら

全ての取引先様は当社に誠実な価格で取引している、と信じる

担当している全ての購入品について、世界一安い価格なのか、というと世の中上には上がありますのでとてもそうは思えませんが、自分が知っている中では今の価格が一番安い、そう信じないと調達担当者としては安心して夜も眠れません。

そうした中で、ある日新規の取引先様から現状より安い金額での見積提案を受けることがあります。

これに対し、従来の取引先様は長年の取引実績があるので簡単には検討できません、などとは全く考えません。

長年の取引に安住してると自分の会社が倒産してしまいますので、すぐ検討に入ります。

何を検討するか

まず、メーカーはどんな企業かを確認します。

私は調達担当者としてチャンスがあればベンチャー企業を応援・育成したいと考えていますが、対象が直接材料や間接材料で安定調達に不安がある場合、機能・価格の差が僅差であれば、NGの判断をします。

機能・価格の格差が十分大きいと判断した場合は、まず従来品の取引先様に安価品の売り込みがあったこととおよその価格差を説明し、価格見直しにより同値水準で対応するなら検討を中止することを伝えます。

この時点で、従来品の取引先様にこうした話をすることに違和感を持つ方がいるかもしれません。

 私は、冒頭に記述したように取引先様は誠実な価格を提示している、という性善説を基本にしているため、影でコソコソしたくありませんし、見直した価格で取引を継続できた場合、切り替え評価のコストとリスクを負う必要がなくなります。

ただ、安価な見直し価格の回答を受けた場合は「いままでの価格は何だったのか」という印象が残り、その後その取引先様からの提示金額には警戒するようになるでしょうね。

一方、話は前後しますが新規に売り込んだ取引先様にも、従来品の取引先様にこうした対応をすることは説明しておきます。

これには「当社は既存の取引先様を大事にする。従って秘密裡に切り替え検討を進め、ある日突然購入停止を申し渡すような失礼なことはしない。貴社ともこの機会に取引を開始した場合、同様の対応をさせていただく。」という説明を加えます。

そして、機能・品質の評価

 これまでの経験で、例えばクリーンルーム内で使用するゴム手袋の切り替え評価では、梱包袋内のコンタミ量やゴム手袋のピンホールの保証値などの評価を経て導入の可否判断をもらいました。
長らく 安い=良くない という感じでしたが、ようやく合格品が出たのを覚えています。

さあ、やっと導入開始です。
すぐ全面導入するか、部分導入から開始するか、を検討する必要がありますね。

この時点でも従来品の取引先様には検討状況は十分説明し、在庫状況は良く把握しておく必要があるのと同時に、いつでも捲土重来のチャンスがあるのだ、ということをアピールしておきます。

 

調達の業務課題には様々な対応があり、何が正解ということはありません。

その中で、このブログが対応策の検討やセカンドオピニオンとして少しでもお役に立てれば幸いです。

また、営業職の方々にとっても調達担当者の考え方を理解することで取引先との良好な関係を築くための参考となれば幸いです。