商社は一商権命(いっしょうけんめい)ー「商流」について
戦国武士は一所懸命
つまり、自分の領地を守るために命を賭して戦った訳ですね。
これに対し、現代の商社は一つの商権に対し命を賭けて守る、という意味です。
何故なら、これが商社のマージン(口銭とも言います)の源泉となるからです。
一般的に、あるメーカーが新製品の拡販を行う場合、特定の業種・業界に強い商社を起用して、その実績やネットワークの力を利用し拡販を図ろうとすることが国内メーカーだけでなく海外メーカーでも良くあります。
この時に、日本国内を一括したマーケティング活動及び販売を担う商社を総代理店などとする場合もありますが、特殊で高額な機器などを除いて、普通は対象の業界に強いという商社はたくさんありますので、地域で分けたり、全国各地に工場を展開する大手企業などは個別の企業ごとに対応する商社を振り分けます。
この振り分けで得た権利を、商社側では「商権を得た」と言い、メーカー側では「帳合先として選定した」などと言います。
そして、この取引の流れのことを発注する側では「商流」と呼んだりします。
発注する側にとっては
メーカーから「弊社の製品はこちらの商社様を経由して注文をください」などとこちらの意見や都合をヒヤリングすることなく、勝手に決めた企業を紹介されるのは面白くありませんね。
しかし、対象製品のメーカーとあまり取引のない既存の取引先様に無理に発注するよりはそのメーカーと取引実績が深い商社に発注する方がメリットが多いのが実際です。
これは、対象製品の特長や使用上の注意など情報提供面だけでなく、取引実績が深い商社ほど数多く企業に対象製品を販売する中で「最安値はいくらか」を知っているからです。
その最安値をいきなり自社に適用し、見積提示されることはまずありませんが、この機会に他の商材も含めた自社との取引を拡大をしたいという意図から、それなりの提示金額を得られます。
余談ですが、ある装置の導入に当たり、メーカーと直接価格折衝したところ、思うような価格回答が得られなかったため、他社も含めた販売実績が豊富な商社を窓口として価格折衝したところ、大幅な値引きが得られた、という経験が何度かあります。
発注先の選定は、こちらの権限
上記の、メーカーから「弊社の製品はこちらの商社様を経由して注文を」との話には必ず「しかし、最終的にどちらに注文されるかは貴社の判断ですが」という説明が付きます。
まぁこれは、当たり前の話ですね。
私たちが調達業務を日々行う中で、この「商流」は確定したもので変更できない、などとは全く考える必要はありません。
自社も取引先様も事業環境や時代の流れの中で、状況は常に変化し揺らいでいます。
これを、いつ、どのように捉え、活用するか、常に機会を狙いましょう。
この「商流」についてはまだまだ話題がありますが、それは別の稿で。